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プロジェクト

 

 

担当

 
 
Money Forward HOME, Inc. (固定費の見直し, 保険)

Money Forward HOME, Inc. (固定費の見直し, 保険)

調べる・定める・描き直す。別業種への参入を、勝てる形になるまで設計し続ける。

固定費の見直しと、保険領域の新規事業です。家計簿アプリで蓄積した機能を強みに、オンラインで保険に加入できる体験をつくる。既存の対面チャネルとは獲得構造が異なり、規制上の制約も伴う領域です。ユーザー調査から事業構想、体験設計、UIデザイン、公開後の検証まで、3年間伴走しました。


 

Client
Money Forward HOME, Inc.(新規事業 — 固定費の見直し / 保険)

  • 期間:
    2022年5月 – 2025年5月(約3年)

  • 担当:
    事業構想 / ユーザー調査の設計と実施 / サービス設計 / 情報設計 / 体験設計(UX)/ UIデザイン / デザインシステム / 実装確認 / 公開後の改善提案

  • 体制:
    企画と実装のあいだをつなぐ立場で、複数の案件に関与

※ 金融・保険関連サービスという特性上、成果物の詳細は非公開です。掲載する画像には一部マスク処理を施しています。

 

 

Point 1 ── 参入する前に、勝てる場所を探す

 

対面が主流の市場に、オンラインで参入する。この前提が成り立つのかどうかから始めました。

すでに保険を検討している層をオンラインで獲得しようとすれば、認知と信頼で優位に立つ既存事業者と正面から競合します。同じ土俵では勝てない。ではどこでなら勝てるのか。

そのためには、ユーザーが実際にどう保険を選んでいるのかを知る必要がありました。つくり手は、比較検討したうえで最適なものが選ばれると想定しがちです。しかし実際には、その商品を扱う相手を信頼できるかどうかが、加入の意思をほぼ決めている。検討にかける時間も、想定とは違う形で動いていました。

推測のまま設計を進めれば、どこかで必ず外れます。アンケートとユーザーインタビューを設計から実施まで担当し、複数回にわたって前提を確かめました。何を聞けば知りたいことが分かるのか、聞き方によって答えが歪まないか。手法の比較から入っています。

調べた結果は、ペルソナとユーザーストーリーマップに落としました。誰の、どの場面の話をしているのか。議論の土台をそこに置いています。

 

 

Point 2 ── 既存資産を、新しい市場でどう効かせるか

 

新規事業といっても、ゼロから始めるわけではありません。

この会社には、家計の全体像を扱ってきた実績と、それを支える機能があります。保険という別の市場に出ていくとき、その資産をどう効かせるのか。ここが定まらなければ、他社と同じことをオンラインでやるだけになります。

事業の核となる考え方、その理由、提供するもの、届け方。この四つを整理し、サービスの階層構造として組み直しました。あわせて、関係する社内外のプレイヤーを一枚に並べ、誰がどこで何を担うのかを可視化しています。提携先、社内の他部門、開発チーム。関わる相手が多い事業ほど、この地図がなければ議論が噛み合いません。

このレイヤーが決まってはじめて、画面の設計に入れます。

 

 

Point 3 ── 一度描いた形を、置き直す

 

当初の想定で組んだ導線を、途中で一度たたみました。

進めるなかで、前提そのものに無理があることが見えてきたためです。部分的に手を入れて延命するか、前提から置き直すか。後者を選び、全体を描き直しました。

描き直した体験は、分岐が多くなりました。いま入っている保障と、必要な保障。その大小関係で状況が分かれ、加入の有無や見直しの意向が重なります。組み合わせごとに、何を伝え、次にどこへ導くのか。すべての分岐を洗い出し、結果画面をパターン単位で設計しました。

診断そのものにも深さを二つ用意しています。短く終わるものと、詳しく答えるもの。どこまで踏み込みたいかは人によって違うため、入口で選べるようにしました。

この体験設計図は、日本語と英語を併記しています。開発チームが海外拠点にあり、図がそのまま実装の土台になるためです。画面遷移、条件分岐、ログインの有無による挙動の違いまで、読んで実装できる粒度で描いています。

 

 

Point 4 ── 負けている理由を、構造で特定する

 

公開は、区切りではありませんでした。

数値が伸びないとき、原因は表現にあると考えられがちです。しかし多くの場合、問題はもっと手前にあります。

複数の流入経路を並べ、各段階でどれだけ進み、どこで離れているのかを追いました。数値の位置によって、直すべきものは変わります。入口の表現なのか、その先の体験なのか、あるいは前提としている相手そのものなのか。表面的な改善を繰り返しても、構造が原因であれば戻ってきます。

A/Bテストでは、結果に対して仮説を立てました。良かったものについても、なぜ良かったのかを問い直しています。悪かったものについては、表現の問題なのか、狙う相手が違うのかまで分けて考えました。

競合がどう見せているかを調べ、自社と比較しています。そのうえで改善施策をKPIごとに整理し、かけた費用に対して何が返ってきているのかまで見ました。

 

 

Point 5 ── 事業が変わるたび、体験を描き直す

3年のあいだに、事業の形は何度か変わりました。

そのたびに、サービス全体の導線図を描き直しています。事業が変われば、ユーザーの通る道も変わる。全体像を更新し、いつ時点のものかを残しました。過去の版を消さずに残したのは、なぜ今の形になったのかを後から辿れるようにするためです。

サービス全体の体験設計

コンポーネント設計と運用ルールも体系化しました。実装効率と品質の安定化を図るとともに、長期運用における再利用性を意識した設計としています。

コンポーネント設計と運用ルールの体系化

自分がいなくなったあとに、チームだけで進められる状態。それをつくることも、設計の一部だと考えています。

具体例(一例)

保険サービス ─ 全体設計・UI
└ 必要保障額シミュレーション ─ ロジック設計・UI
└ 商品ページ/記事ページ ─ 構成設計・SEO
└ LP・広告クリエイティブ ─ 主に改善

介護・認知症保険サービス ─ サービス設計・UI

固定費見直しサービス ─ 全体設計・UI
└ LP ─ 設計・UI
└ 固定費モジュール ─ アプリ本体(Money Forward ME)への組み込み

 

 

一緒に働いた人の声

プロジェクトをご一緒した方々にお願いし、ご快諾いただいたコメントです。関わった業務や役割は案件ごとに異なりますが、その一部をご紹介しています。

 

🗣 Sさん

このプロジェクトは、保険をオンラインで販売するという難しい取り組みでした。金融業界の様々な制約を考慮しながら、ユーザー視点であるべきサービス設計は何かを考える必要性がありました。
その中で、多様なプロジェクトメンバーの議論をリードしつつ、同時に、具体的なデザインを作成してくれました。抽象的な議論の進行と、具体的なデザインを作成するスピードとクオリティーが、素晴らしかったと感じています。いとえりさんがチームにいたからこそ、UXデザイン・事業収益をうまく両立できた、業界の中でも独自性のある取り組みが実現できたと考えています。抜群に腕が立つ上に、人の気持ちの機微がわかるとっても素敵なデザイナーさんで、とても尊敬しています。またどこかで、一緒に働きたいなと思っています!

 

🗣 Nさん

高いコミュニケーションスキルで、チーム内外のあらゆるメンバーと信頼関係を築きながら、常にプロジェクトを前に進めてくださる方です。 デザイン部に対しても惜しみなく知見を共有してくださり、チーム全体のレベルアップに大きく貢献されていました。 業務委託という立場を感じさせない責任感ある姿勢で、チームにとって「いとえりさんがいれば大丈夫」と思わせてくれる安心感のある存在でした。 私自身もデザイナーとして、多くの刺激と学びをいただきました。

🗣 Kさん

イトエリさんとは、社内のマイクロサービスの、戦略を踏まえた少し抽象度の高いフェーズから、最終的なデザインのアウトプットに至るまで、長くご一緒させていただきました。
いつもチームの一員として自然に溶け込み、必要なところにきちんと手を差し伸べてくださる姿に、たくさん助けられてきました。
マネージャーとしては、プロジェクトの状況をこちらから確認しなくても、きちんと必要な前進があり、安心してお願いできる頼もしい存在でした。
イトエリさんの丁寧なお仕事とあたたかい姿勢に、心から感謝しています。
ご一緒できた時間に、あらためてありがとうを伝えたいです。

 

🗣 Oさん

いとえりさんはいつも気持ちの良いコミュニケーションをしてくださり、実直にデザインをされている印象があり、目的や課題に対して情報要件の分解・整理をしつつ、適した手段で周りを巻き込んで推進してくださっているような頼もしさ・安定感があり、またぜひお仕事をお願いしたい!と思うような方です。

 

 

多様な目的が交錯するなかで、誰にとっての最適解かを問い続けるプロジェクトでした。ユーザーの視点と事業上の要請を同時に満たす構成を模索する過程で、機能や訴求の優先度を都度見直す柔軟性が求められました。

加えて、互いの専門性を尊重しながらフラットに議論できる環境があったからこそ、思考と実行の往復を丁寧に積み重ねることができました。

成果物だけでなく、その過程における取捨選択の判断基準こそが、今回の学びとして残っています。あらためて、関わってくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

 
パナソニック エレクトリックワークス社 住宅サービスプラットフォーム

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